＊＊


「お嬢様。ドレスはお気に召しましたか？」

「もちろん…！とっても綺麗で素敵だわ。ロヴァさんにお礼を言わなくちゃ。どう？変じゃないかしら？」

「よくお似合いですよ。」


華やかな舞踏会。

控え室の鏡の前で、煌びやかなドレスの裾がふわりと広がる。ロヴァが仕立てたベルラインのデザインは華奢なシルエットによく映え、彼女の美しさを際立たせていた。

メルの返答に照れたように笑う彼女。わずかに染まった頬を見て、メルも穏やかに微笑んだ。


その時、ふと、控え室の扉を叩く音がした。

顔を出したのは、渋い笑みを浮かべるロヴァである。


「おぉ、いい感じだな。さすが俺の仕立てたドレスだ。」


一流ブランドのデザイナー兼創設者でもあるロヴァは、髭をさすりながらキリッと目元を細めた。漂う色気とカリスマオーラに、支度を手伝っていた使用人たちがキラキラとした視線を送っている。

ルシアは、コツコツと彼に歩み寄って声をかけた。


「ロヴァさん！このドレス、とっても素敵です！ありがとうございます…！」

「いや、こちらこそ、着こなしてくれて嬉しいよ。クロノア家の令嬢に着てもらえるなんてオーダーメイドした甲斐がある。」