お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》


ぼっ!と頬を赤らめる彼女。

ニコニコと笑うダンレッドに、彼女は小さく尋ねる。


「えっと、貴方は執事さんですか…?補佐の方にしては、何というか、雰囲気が違いますが…」

「あぁ、ごめんなさい。俺、普段お嬢様にフランクに接して、と言いつけられていて、いつもの癖が出てしまったようです。貴方のような女性と出会えて浮かれているのかもしれません。気分を悪くされました?」

「あっ!いえいえ!私はただのメイドですので。なんだか、面白い方ですね…!」

(あぶねー…!)


ぺらぺらとその場しのぎの言葉を並べ平静を装うダンレッドは、にこやかに続ける。


「これ、どこに運びます?良かったら案内して頂けませんか?」

「いいですよ。こちらこそ助かりました。」

「ははっ!気にしないでください。重いものを持つのは男の仕事ですから。」


一瞬ホールへ視線を向けるダンレッド。その先では、メルが資料を片手に指示を出している。こちらに気付く様子はなさそうだ。

ダンレッドは、メルに背を向けるようにメイドに続いて歩き出した。


「名前、リラ、で合ってます?」

「どうして、私の名前を…?」

「さっき、皿を受け取った時にネームプレートを見たんです。リラさん…って、馴れ馴れしいですか?」

「ふふっ。いえ、構いませんよ。」