お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》

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「やっぱり、メルのはちょっと小さいな。…ま、腕が動けば許容範囲か。」


数時間後。

ダンレッドはルーゼント家の別荘であるパーティー会場に潜入していた。もちろん、いつもの用心棒姿ではなく、洗濯物に出ていたメルの燕尾服を借りた執事スタイルだ。

潜入調査のカモフラージュとして会場にわんさかいるであろう執事の格好をしたダンレッドだったが、ここに呼ばれているのは執事の中でも実力を認められた指折りの精鋭だと気付いて焦り出す。

しかし、ここで帰るわけにはいかない。ルーゼント家の黒い噂が、ルシアとメルの将来を脅かすものになりかねないからだ。


(メルにバレたらすっごく怒られるんだろうなあ。お嬢さんを連れてこなかっただけ褒めて欲しいけど。)


そんなことを思いながら、ダンレッドはいつか変装で使ったダテメガネを気休め程度にかけ、物陰から相棒の姿を探していた。


ルーゼント家の別荘は、豪華なステンドグラスで飾られたダンスホールがあり、シャンデリアには数えきれないほどのダイヤが輝いている。せかせかと働く使用人たちの中には燕尾服を着ている青年の姿もちらほら見えるが、そこにメルはいなかった。