お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》


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「不審者扱いしてすみませんでした!それにしても、メルの師匠さんだったなんて。早く言ってくださいよ…!!」

「はは。悪いね。君のように素直な子はからかいたくなる性分なんだ。」


ソファに座ったミカゲは、ふっと微笑んで頬杖をついた。

ウォーレンとの会談を終え応接室で一息ついた彼に駆け寄ったダンレッドは、改めて目の前の男を見つめた。


彼の所作に既視感があったのは、無意識のうちにメルと重ねていたからだったらしい。彼の教え込んだ全ては、メルのそれと似ているようだ。

大人の色気がダダ漏れ、といった彼がメルと同じ執事だなんて信じられない。なんというか、バーデンダーと言われた方がしっくりくる。


「仕事の進捗を聞きがてら弟子の顔を見ていこうかと思ったが、あいつがいないのは予想外だったな。」

「メルは元気ですよ!執事としても優秀で、うちの使用人はみんなメルに憧れてます!」

「そうか。あいつの仕事ぶりを見てみたかったな。…まぁ、居たら居たで、ちゃんと飯食ってるかとか、禁煙は続いてるか、とかガミガミ言われたんだろうが。」

「ははっ!仲いいんですね!」


珈琲を飲んだミカゲは、ダンレッドを見て言葉を続けた。


「そういや、今日メルはどこに行ってんだ?」

「あぁ!メルはルーゼント家に打ち合わせです。来週のバースデーパーティーに執事補佐として参加することになったので。」