クールに言い放ったメルに固まるダンレッド。相棒の論理に納得しながらも、何か言いたげにメルを見上げる。

と、その時。
鈴のような可愛らしい声がガーデンに響いた。


「断るなんてもったいないわ。私のことは気にしないで。メル、本当は行きたいんでしょう?」


ひょこっ!とテラスの窓から顔を出したのは、ルシアである。ちょうど、話を聞きつけたらしい。


「もちろん、メルは今のままで十分すごい執事だけど、バースデーパーティーに一流の執事が集まるなら、いい刺激になると思うわ。学ぶこともあるかもしれないし。」


確かに、完璧主義で向上心の高いメルは、選抜された執事達と共に働く機会に興味を持っていた。また、良い意味で貪欲な彼は、自分のため、そして他でもないルシアのために執事としての実力を高めようと日々心身を研磨している。

それを知っているルシアは、にこりと笑った。


「少しでも気になるなら、快く送り出すわよ。メルが選抜されて、私も嬉しい。」

「そうだよメル!執事補佐としてやり切ったら、箔つくじゃん?行っておいでよ!お嬢さんのことは俺に任せてっ!」


ニコニコとガッツポーズをするルシアとダンレッド。

やがて、応援旗を振りだしそうな彼らの勢いに負け、メルは渋々頷いたのだった。