お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》


困惑したルシア。

ダンレッドは、そんな彼女を見て、自信たっぷりに言葉を続ける。


「あ、信じてないでしょ?本当だよ?メルは、お嬢さんといる時の方が楽しそうだもん。なんというか、素で笑ってるというか。」

「素?」

「うん。本当に楽しい時は、もっと幸せそうに、ふわ〜って感じで笑ってる。」


頬に指を添えて、にこーっ、と笑って見せたダンレッド。隣で真似をするルシアに、ダンレッドはケタケタと笑う。

…と。二人がお互いの顔を見合わせ、いつの間にか睨めっこに発展して笑っていた、その時だった。


「人の家の前で楽しそうですね。」


聞き慣れた艶のある声。

ばっ!と顔を上げた瞬間。二人の視界に映ったのは、冷ややかなローズピンクの瞳である。彼を見た瞬間、ダンレッドとルシアの顔が強張った。


「うわわっ!?メル!!」

「あっ、だ、ダメよダンレッド!名前なんか呼んだらバレちゃうわ!」

「ご心配なく。今さら隠してもモロバレですので。」


微笑んだメル。

その笑みが逆に怖い。

目を泳がせるルシアとダンレッドに、すっと二人の元へ屈んだメルは、眉を潜めて低く唸った。


「さて。説明して、ダン。これは一体どういうこと?」

「ひぇ…、寸分違わず俺主導だと思われてる…!」