お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》


まるでコントのような絵面。

メルは、アレンでも試したそうだが、頭の小さい子どもではウィッグがズレてしまい上手く出来なかったらしい。

そこで召喚されたのがダンレッドだった。

アレン引き取りの一件で借りを作っていたダンレッドが断れるはずがない。おかげで、メルの執事としてのスキルが上がってお茶会も無事に終わったのだが、他の女性の髪で練習したと思っていたルシアは何となくモヤモヤしていたのだ。

そのモヤモヤが、好きな人に対する可愛いやきもちであることに本人はあまり気付いていないようだが、ダンレッドからすれば彼女の気持ちは明白だった。

ダンレッドはくすくすと笑っているものの、ルシアはまだ信じ切れないらしい。


「…なんだか、ここまで来たらすごく気になってきちゃった。」

「え?」

「ダンレッド。ちょっとだけ、付き合ってくれる?」


ダンレッドはルシアの言葉の続きを聞くなり、イタズラをする前の子どものようにニヤリ、と笑った。

そして、提案に乗り気な彼を見て、いつもは品行方正なルシアも小さく頷いたのだった。