お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》


艶のある青年の声。

ばっ!と後ろを振り返ると、そこに見えたのは見慣れたトレンチコート。綺麗なローズピンクの瞳がこちらを見つめている。


「め、メル…っ!どうしてここに…!!!」

「旦那様のお仕事の手伝いでね。もう帰るとこ。ダンこそ、どうしたの?今日は非番もらってなかった?」

「あー、ええと、そうなんだけど…。ちょっと所用で…」

「ふぅん。…で?その子、誰?」


ズバッ!と確信を突かれる。

ダンレッドの足元で外套にしがみついている少年が目に入らないわけがない。

メルの容赦ない問いに、ダンレッドは目を泳がせた。


「んーと、この子はアレン。とっ、友達なんだ。」

「友達?さすが、ダンは交友関係が広いね。」

「いやぁ、それほどでも…」

「でも、こんな子どもを馬小屋に匿おうなんて可愛そうじゃない?」


“バレた”


ぎょっ!とするダンレッド。

相棒は、全てお見通しらしい。


「ダン。説明して?…これは一体どういうこと?」


修羅場のようなセリフ。

ついに観念して経緯を説明するダンレッドに、メルは腕を組んで黙り込んだ。