お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》



「うわぁ…、デカい屋敷…」

「でしょ?ここ、俺のご主人様の家なんだ。」


ダンレッドの隣でそびえ立つ屋敷を見上げるアレンの瞳は、子どもらしく輝いている。

ちらりと周囲を見渡すダンレッド。使用人達が出払った定時すぎだということもあり、辺りには人影がなかった。

チャンスだ。


「なぁ、ダンレッド。もしかして、俺、ここに住めるの?」

「うん。今日のところはね。」

「えっ!本当?!すごい!」

「うん。藁って意外とあったかいから、寝やすいと思うよ。」

「は?」


アレンが、ピタリと動きを止めた。

聴き慣れない単語に呼吸を忘れる。

ダンレッドは、静かに続けた。


「アレン、動物好きだよね?馬とか、どう?」

「あの、一つ聞いていい?俺、お屋敷のベッドで眠れるんだよな?」

「あはっ。」

「なんで笑うんだよ?!うん、って言ってよ!」


ーーと。

門の前でじゃれついていた、その時だった。


「ダン?こんな時間に何してるの?」