お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》


「アレン。喧嘩をするなとは言わないけど、もう少しいい子にしなきゃだめだよ。お家の人だって、心配するでしょ?」

「しないよ。俺、親いないし。」

「え?」

「この前の内乱で、二人とも死んだ。…心配する家族なんていない。」


アレンは、革命孤児であった。

この国ではさほど珍しいことでもなかったが、親戚も里親もいない彼はどこも身寄りがないらしい。国の施設や隣国の商人に引き取られる子どもも多いようだが、その未来はあまり明るくないと聞く。

彼の境遇を思い、思わず言葉を失ったダンレッド。

やがて、アレンはふらり、と立ち上がり歩き出す。


「アレン、待って!どこ行くの?」

「どこでもいいだろ。」

「ご飯は?ちゃんと食べてるの?」

「三日くらい食べなくても平気。」


思わず、ダンレッドはアレンの腕を掴んでいた。

またお説教が飛んでくると察し、顔をしかめて顔を上げたアレン。

しかし、ダンレッドの口から飛び出したのは、アレンの予想を遥かに越えるセリフだった。


「よし!俺の家においで!」

「え…?」