お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》


バートニーに招かれて奥へと進むと、そこには数人の若い隊員に囲まれている一人の少年がいた。

頬には絆創膏が貼ってあり、ちょうど手当てを受けたところらしい。バートニーの話では、複数を相手どり、派手にやり合ったそうだ。


「よっ!また会ったね。相変わらず元気でなにより。」


少年の視線に合うよう屈んで声をかけると、彼の琥珀色の瞳が見開かれた。

服は煤け、黒い髪は無造作にナイフで切り揃えてある。

その手足は細くしなやかだが、単に少年だからというよりも、食事をまともにとっていないような印象を受けた。

少年は、ダンレッドをじろりと睨む。


「またあんたかよ。」

「ははっ!名前教えたでしょ?俺はダンレッドだよ。…君は、アレンだったかな?」


警戒心剥き出しの視線。

わずか十一歳の少年が向けるものとは思えない。


「それで、今日はどうしたの?また喧嘩?相手、結構年上だったらしいじゃん。」

「別に。向こうが売ってきたから、買っただけ。」

「ははっ、尖ってんねー。」


少年は最近街で騒ぎを起こしては通報され、その度にダンレッドが出向くようになっていた。

アレンの住むロザリ地区は治安が悪く、子どもが一人でウロつくには昼間でも躊躇するようなレベルだった。万引きや窃盗などはしていないようだが、この先何かの犯罪に巻き込まれてもおかしくない。