お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》


やがて、管理人に案内させるまま近くの倉庫に足を踏み入れると、そこには船から積み下ろした数え切れないほど沢山の樽が並んでいた。


「すっごい…!旦那様、これ全部お酒ですか…?」

「あぁ。これはね、全て隣国で仕入れたウィスキーなんだ。樽の中で熟成させているんだよ。」


物珍しげに倉庫を見回すダンレッドに、ウォーレンが笑って答える。

ウォーレンの話では、この倉庫から市街の工場に移し、また数年熟成に時間をかけた後に流通させる予定らしい。隣国のウィスキーは評判が良く、上手くいけば多額の儲けが出るようだ。

メルは、倉庫に運び込まれる樽を見つめながらウォーレンに尋ねた。


「隣国からの直輸入だなんてすごいですね。前からツテがあったんですか?」

「あぁ。…娘がちょうど隣国に留学していてね。お世話になっているホストファミリーが果実園を経営していて、ウィスキーの原料を分けてくれたんだ。」


そういえば、ウォーレンにはダンレッドと同い年の娘がいると聞いていた。歳下の彼女に会ったことはないが、外国へ留学しているだなんて相当な才女なのだろう。

いずれ、会う機会があるのだろうか。


(まぁ、俺には関係のない話か…)