お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》

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「聞いてくださいよメルさんっ!俺、雑用係から用心棒に格上げされたんです!」


港近くの役場。

ウォーレンが手続きに出ている間、満面の笑みを浮かべたダンレッドがメルに声をかけた。嬉しさ爆発、といった様子の彼には、ぶんぶん揺れる尻尾のデフォルメが見える。

話によると、彼は先ほどの一件でその潜在的な戦闘能力と反射神経を買われ、ウォーレンの専属護衛に抜擢されたらしい。


「専属護衛、って、旦那様の公務にも付き添うってこと?」

「はい!屋敷の警備とか他にも仕事があるんですけど、旦那様が屋敷から出る時は同行するそうです。だからこれからは、メルさんと三人でのお出かけが増えますね!」


ニコニコと笑う彼。

メルは役場のソファに背を預けながら話を続けた。


「嬉しそうだね。…まぁ、さっきの君の動きを見れば当然だと思うよ。」

「へへ…!あの時は、メルさんに名前を呼ばれて、無意識に体が動いたんです。…その、“ダン”って呼んでくれたの初めてですよね?びっくりしましたけど、なんだか信頼されたみたいで嬉しくて…!」