お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》



呼吸さえ忘れる二人。
青ざめたメイドは、オロオロと言葉を続けた。


『先程お嬢様が、一人になりたい、とおっしゃって部屋にこもっていたのですが…、様子を見に伺ったら、どこにもいらっしゃらなくて…!』


とっさにメルが走り出した。

血相を変えて飛び出す相棒に、ダンレッドも慌てて後を追う。

半ば蹴破るように開けた玄関。
ザァザァと雨が降っているにもかかわらず、メルは傘もささずに駆けて行く。


革靴に泥が跳ねることも気にせず、彼女の影を探した。

その時。メルの視界に映ったのは、ガーデンの中で雨に濡れる“華”。

水溜まりを縫って進み、ガーデンの門をくぐる。
咲き誇る花たちに囲まれて、彼女はいた。


「こら、何してるんです」