お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》



言いたいことは、全てダンレッドが代弁した。

ずっと蚊帳の外にされてきた嫌悪よりも、ルシアに向けられた言葉に激しく怒っている。


「今すぐ出てけ!二度と来るな!!」

「ダンレッド…!」


初めて、ルシアが声を上げた。

なだめるような声。

悲しそうで、不安げな表情。

それは、自分よりもダンレッドを庇うような瞳だった。


執事とは、嫌な生き物だ。

一番認めたくないはずなのに、お嬢様が受け入れていると知った途端、自分が自分を納得させるための言い訳を必死で組み立てている。


「落ち着いて、ダン。もう何も言うな。」


はっ!とするダンレッド。

その瞳は、困惑に揺れている。


「どうしてメルが止めるの?なんであんなこと言われて怒らないんだよ?あいつの言葉聞いてた?!」

「聞いてた。聞いてたよ。でも、これ以上はダメだ。相手を考えなさい。」


ダンレッドが絶句した瞬間。リューデが頬杖をついて口を開く。


「随分と威勢がいいね。度胸がある奴は嫌いじゃない。私は、君の護衛としての腕も聞いている。主である彼女がとられるようで気に入らないなら、君もそこの従順な執事と一緒にロージアンに来るといい。城の騎士団に入れてやろう。」

「ふざけんなよ、てめぇ……!」

「ダン!やめろ!」


思わず殴りかかろうとするダンレッドを力尽くで抑えるメル。羽交い締めのようにして腕を固めるが、ダンレッドは沸点を優に越えている。