お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》

ーーー
ーー



「さて。改めて、私の名はリューデ。ロージアンの第一王子だ。」

「初めまして。ルシアと申します。」


応接室のソファに対面するように腰掛けた二人。

メルとダンレッドは入り口側の壁に立ち、その様子を見守っていた。

メルは、王子とルシアを二人きりにさせるつもりはなかった。ルシアとの対顔を許したからといって、警戒を解いたわけではない。

王子は、ダンレッドの在室を快く受け入れた。

メルにとってはそれも予想外だったのだが、こちらとしては唯一の戦力をルシアの側に置けて好都合である。

王子は、すぐににこやかな表情で話を始めた。


「突然訪ねてすまない。迷惑も承知なんだが、公務の予定が詰まっていてね。」

「いえ、とんでもないです。お気になさらないで下さい。」


緊張しながらも、言葉を選びつつ王子へ笑いかけるルシア。

客人をもてなす彼女の振る舞いは、屋敷を背負う令嬢としては鑑だが、メルはどことなく不快であった。

二人は、その後穏やかに会話を続けている。


「ルシアさん。君は、ロージアンへの留学経験があるそうだね。会話はどのくらい?」

「はい。全て、とまでは言えませんが、難しい言葉がなければ理解できます。」

『いいね。これは?私がなんて言っているか分かる?』

『はい。リューデ様との会話は、なんとか出来ると思います。』

『はは…!これはすごい。発音も完璧だ。』