お嬢様。この私が、“悪役令嬢”にして差し上げます。《追憶編》



「そういえば、そろそろ俺たちが出会って五年じゃない?ちょうど、今くらいの冬の時期じゃなかった?」


ダンレッドの言葉に、ルシアは懐かしむように顔を明るくする。


「ふふ…!私はちゃんと覚えてるわよ。ちょうど留学から帰ってきた日だったわ。」

「そうそう!メルがお嬢さんとは知らずにナンパした日!」

「待った。…ダン。それは語弊があるでしょ。」


くすくすと笑い合う三人。


「五年ってすごくない?ケーキでも買ってお祝いする?」

「わぁ…っ!それ素敵ね!いつか、みんなで旅行とかもしたいわ。お父様も一緒に。」

「えっ、最高〜!いいじゃんいいじゃん!旦那様が帰って来たらお願いしてみようよ!ね?メル!」

「んー…。それは楽しそうですが、旦那様の都合が合うのは冬眠した熊が起き出す頃かもしれませんね。」


メルの呟きに、はしゃいでいたダンレッドが、はた、と止まった。そして、彼につられて肩を落とすルシア。

メルは優しく続ける。


「仕方ありません。今年はケーキで我慢して、旅行は来年にしましょう。」