彼女は、いつも正しかった。

にこやかで聡明で、ひとたび社交界に出れば、誰もが見惚れるほどの完璧な令嬢だった。

俺はそんな彼女の専属執事として仕え、一番側で見守っていた。


時折、不意に頭をよぎる。


彼女は間違えない。

もし、この先、道を踏み外すとしたら

それはきっと、俺の方だ…と。