出来るなら、下足箱の裏ではなく別の場所に隠れたかった。


だけど、もうイーター達は生徒玄関の前までやって来ていて……。


バンッ! という派手な音と共に、ドアのガラスに張り付いたのだ。


「あレ? 開かナい。コこに入っタのハ見えタのに」


先頭を走っていたイーターが、不思議そうにドアをバンバンと叩いて、首を傾げる。


他のイーターはと言うと、先頭のイーターの行動を眺めながら、首を傾げているだけ。


「おおーイ! 誰かイませンかぁ!?」


大きく振りかぶったイーターの手が、ベチンとガラスに叩き付けられた。


ドアが揺れ、ガタガタと大きな音が辺りにこだまする。


生徒玄関のガラスは厚い。


どうやらイーターの力でも、この程度なら耐えられるみたいだ。


このまま、割られないことを祈りながら、諦めて帰るまで待てば……。


そう考えていたけれど、今の状況は、これまでとは大きく異なっている事を思い知らされた。


「ふ、ふえっ……ふぎゃー! ふぎゃー!」


真倫ちゃんが抱えていた赤ん坊が、今の音で驚いたのか泣き始めてしまったのだ。


「あハ! やっパりイた!」