もしそうだとしても、負けたりしないのにっ……!

 それに、こっちのほうが逆に悪目立ちしてるみたいだけど……。



「そういう意味じゃないけど……由姫が強いのは、俺が一番知ってる」



 拓ちゃんの言葉に、笑顔を返す。

 強いと言われて、嫌な気はしない。ふふっ。

 拓ちゃんとは、幼なじみだけど家がご近所とか、そういうわけじゃなかった。

 小学校に入る前から通っている空手道場。私たちの出会いはそこだ。

 私が引っこしをするまで、週に二度の柔道で毎回顔を合わせていたんだ。

 柔道の帰りに、よくアイスを買って帰ったりしたのが懐かしい……ふふっ。



「なあ、あいつらは知ってるのか?」



 あいつら、と言うのはたぶん……fatalのみんなのことだと思う。

 拓ちゃんはfatalのみんなと仲がいいわけじゃないけど……いやむしろ、仲は悪いけど、私がみんなと仲良しなことは知っている。

 それに、春ちゃんと付き合っていることも。