【side蓮】



 最近、俺の頭の中のほとんどを由姫が占めていた。

 何をしていてもどこにいても、いつの間にか考えているのは由姫のことばかり。

 なんでだ。誰かのことが頭から離れないなんてことは生まれてから初めてで、戸惑いを隠せなかった。

 でも、嫌な気分ではない。

 由姫のことを考えている間はどうしてか、自然と心が安らいだ。

 相変わらず眠れない日々を送っているのに、由姫が同じ空間にいる時はあっさりと眠りに落ちた。

 どうしてしまったんだ俺はと思わずにはいられなかったが、その答えは考えても一向に出ない。

 そんなある時――ようやく、その答えが出る日が訪れた。







「お前、最近やけにぼーっとしてるな」



 舜に言われ、驚いた。

 自覚はあったが、そんなにか。