眠い。もう、何が起こっても、誰も私をこ

の孤独からは解放してくれない気がして、

何もかもどうでも良かった。

私は今まで、何をしてきたのだろう。毎日

生きている心地もせず、ただ足をばたばた

動かしたり、理由もよく分からずに出てく

る涙をなんとかぬぐったりして、耳を澄ま

せていた。

春には、小鳥のさえずり、夏には、蝉の鳴

き声が聞こえて、少しは気分が良くなるも

のの、こっちに向かう「男」の足音が聞こ

えると、一気に体と心が緊張し、小鳥のさ

えずりも、蝉の鳴き声も、別世界の事のよ

うに思えてくる。