星空は「好き」を繋ぐ明日への光

次の日、先生はふつうだった。

前の日のことなんてなかったかのような顔。

私もあの時は雨に侵されて普段はぜったい口にしないことを口にしていた。

雨に侵されて、なんてただの言い訳に過ぎない。



言いたかったから言ったんだ。

意図的に、自分の意思で。

今はそう思う。



「伊勢物語は平安時代初期に成立した歌物語、作者未詳、主人公は在原業平────」


古典の時間。



先生の大きな声と板書を写している音を聞きながら、私は別の作業をしていた。



クラスメイトが私の悪口をほとんど言うことはなくなった。


前はカーストが上位の歩生さんに従ってただけ。


きっと今は空気みたいな存在。


いてもいなくてもわからない存在。


あの雨の日、私は先生にすら注意されなかった。


でもそれでよかった。悪口言われるより何十倍もましだった。




視線は黒板ではなく、暗号がたくさん書かれている教科書に向いている。


少しだけ復習をしている、というのは来週に控えた初めての定期考査に向けて。