もうそばにいるのはやめました。




「あーあ、先に言われちゃったな?」


「…………」


「ドンマイ、円」


「……仕事すんぞ」


「ほーい」




円と武田くんがつれてきた女の子たちを並ばせながら話していた内容など、わたしには知るよしもない。




「で、でも!やっぱりソレよりもドレスのほうが似合います!」


「そうかな?」


「姫は姫っすから!」



わたしの持っていたドレスのほとんどは、ハルくんが見立ててくれたよね。


それこそ本物のお姫さまみたいなドレス。

今は1着も手元にないけれど。


もうきらびやかに着飾る“姫”には戻れない。



「この服ね、わたしが作ったんだよ」


「ご自身で!?」



ほめられたし、自慢しちゃえ!

調子にのってくるりと一回転する。


ハルくんがハッとしてわたしの両手を取った。


すみずみまで観察し出す。



「は、ハルくん……?」


「……ケガは……してないっすね」



あからさまにほっとされたら……明かせないな。


実はね、つい最近まで絆創膏だらけだったんだよ。


たくさんケガしたの。

血も出たし、痛かった。


でもね。



「わたし、頑張ったの。……頑張ってるんだよ」



努力するのは楽しいだけじゃなかったけど、積み重ねるほどひとつまたひとつ目標を達成できた。