「……ハルくん、寄ってく?」
「もちろんっす!」
食い気味にうなずかれた。
それならクラスメイトの言葉に甘えて、ハルくんをメイド執事喫茶に招こう!
「お帰りなさいませ、ご主人さま」
ハルくんの手を引いて、空いてる席までみちびく。
「ご、ご主人さま!?や、やめてください!ご主人さまなのは僕じゃなくて……」
「だーめ!」
「っ!」
「ここではこういうルールなの」
ハルくんの口元に人差し指を近づけた。
しぶしぶ口をつぐんだハルくんに、微笑みながらメニューを渡す。
「……あ、あの……」
「もう注文決まった?」
「注文はまだっす。……そうじゃなくて、さっき言い忘れてたんすけど……」
椅子に座ったハルくんは、一瞬わたしをなぞった眼差しを手元にすべらせる。
1秒、2秒……。
3秒後、ぎこちなくわたしを見上げた。
「そ、その格好……すごく、似合ってるっす……!」
「ほんと?ありがとう!」
ハルくんにもほめられちゃった!やったー!
穂乃花ちゃんも「かわいい」って言ってくれたし。
今日はいっぱいほめられて幸せ。



