もうそばにいるのはやめました。





――あれ?今……


聞き覚えのある声がした気がしたんだけど……。




「気のせい……かな?」




「すいません!そのパンフレット、もらっていいですか?」


「は、はい!どうぞ!」



すれちがいざまに最後のパンフレットを女の子に渡す。



ナツくんの言ったとおり、パンフレットを求める生徒がたくさんいた。


それなりに残っていたパンフレットがあっという間になくなっちゃったよ。



「ねぇねぇ、ここ行ってみようよ!」


「いいね!行こ行こ!」



女の子たちが、さっきあげたパンフレットを見て盛り上がってる。



いつもとちがってカラフルな校内。

明るくにぎやかな生徒。


あちこちから楽しげな声が響く。



お嬢さまのときに通っていた学校のイベントとは雰囲気がちがうけれど、こういうお祭りもキラキラしてていいな。



文化祭実行委員の1人として頑張って仕事してきてよかった!


努力がむくわれた気がするよ!



「クラスにもちゃんと貢献しなきゃ!」



よしっ!と気合いを入れて、廊下を進んでいく。



あっ、あそこのおばけ屋敷、面白そう!

あの子の持ってるのなんだろう。おいしそう……。

あっちでコスプレできるの!?メイド以外にもなりきってみたい!



……なんてよそ見をしていたら、歩くスピードが遅くなっていた。


誘惑が多すぎる……!!