名前を呼んで、好きって言って


「とりあえず私たちは、秋保ちゃんが幸せになれるように祈ってるから」
「そうそう。相談とかいつでもしてくれていいからね」
「惚気とか大歓迎だし」


三人は笑顔で言う。
その優しさに、涙が出そうになる。


「みんな好き……」


もう、気持ちが溢れたようなものだった。
好きとしか言いようがないのがもどかしい。


「秋保ちゃんの愛の告白だ」
「照れちゃう」


そして私たちは笑いあった。


家に帰ると、リビングで美桜を待つ。
慣れた場所のはずなのに、異常に緊張していた。


「ただいまー」


玄関のほうから、美桜の声が聞こえた。


まだ美桜を前にしたわけじゃないのに、さらに心臓がうるさくなった。


「あれ、秋保帰ってたんだ。ただいま」


リビングに入って私に気付くと、美桜は声をかけてくれた。


「……おかえり」


ダメだ、声が震える。


美桜とあのことを話して、昔みたいに仲良くしたいと思っているのに、思うようにいかない。


何を言えばいいのか、全然考えられない。


「秋保がリビングにいるなんて珍しいね」


美桜はどこか嬉しそうだ。


いつもは美桜を避けて自分の部屋にこもっているから、そう思われて当然だろうけど。