名前を呼んで、好きって言って


三人の席は廊下側の一番後ろに固まっていた。
もともと私の机は窓際の一番後ろに置いてあったけど、柊斗さんが運んできてくれた。


前に春木君、隣に柊斗さん、後ろに翠君と、私は三人に囲まれる形になった。


「じゃあ加宮の挨拶が終わって、席も決まったことだし、さっきの話の続きをするぞ」


先生は私の名前を消すと、そこに「球技大会」と書いた。
続けて「サッカー」「バスケ」「卓球」と書く。


「来週には球技大会がある。今日中に誰が何の競技に出るか、決めておいてくれ」


それだけを言うと、先生は教室を出ていった。
それと同時に、室内は騒がしさを取り戻す。


「秋保、バスケやろう! 俺、バスケなら教えられるよ!」


前の席に座る春木君は、勢いよく振り向いた。


「あの……私、バスケはできるよ」
「へえ、意外。スポーツなんて無縁です、みたいな顔してるのに」


それは一体どんな顔だろう。


「小学生のとき、ミニバスをやってたの。上手くならなくて、中学生になる前にやめちゃったけど」


翠君は興味なさそうに相槌を打つ。


「翔和ー。あんたたち何するの?」


すると、黒板に名前を記入していた女子が春木君を呼んだ。