すると、室内は笑い声に包まれた。
「翔和やば」
「天使って、本気で言ってんのかよ」
「本気も本気! 超本気!」
できれば今すぐその口を閉じて欲しい。
楽しい空気になっているのはわかっているけど、どうしても嘲笑われているような気がしてならない。
「はーい、そこまで」
手を叩きながら止めに入ってくれた翠君が、ヒーローのように見えた。
「……翠君……」
「翠君!?」
春木君はなぜか大きな声でそう言った。
止めに入ってくれたのも、今目の前にいるのも、翠君だ。
何も間違っていないはず。
「秋保、これは?」
「これって失礼じゃない?」
春木君は不満そうな翠君を指さす。
「えっと、翠君……?」
「じゃああっち!」
「……柊斗さん」
春木君の勢いに圧倒されて答えたけど、春木君が何を確認しているのか、まったくわからない。
二人のことなんて、私以上に知っているだろうに。
「じゃあ、俺は!?」
「春木君?」
本当に何がしたいんだろう。
「納得いかない!」
そう言われる私のほうが、納得いかない。
「なんでアイツらは下の名前なのに、俺は苗字なの?」
あ、なるほど。
そういう確認だったのか。



