1日だけ、キミの彼女。

見たらそれは確かに、私がなくしたヘアピンだった。


「わぁ、ありがとう! よかった、見つかって。ちょうど今探してたの」


お礼を言うと、微笑みながらこちらを見つめてくる彼。


「やっぱり。結奈が今朝髪につけてて可愛いなって思ってたから」


その言葉に思わずドキッと心臓が跳ねる。


うぅ、そんなこと言われたら、やっぱり嬉しくなっちゃうよ。


でも、ダメだよね。これ以上話してたら……。


「ほんとにありがとう。助かりました。それじゃ……」


だけど、私がそう言ってヘアピンを受け取ろうとしたら、璃久くんはピンを片手にこんなふうに言った。


「俺がつけてあげるから、じっとしてて」


「えっ?」


そのままそっと私の髪にヘアピンを付けてくれる彼。


手が触れた瞬間心臓がドキドキと高鳴って、体が熱くなっていく。


「はい」


「あ、ありがとう」


璃久くんに照れているのを悟られないよう下を向いたまま礼を言う。


すると、その瞬間どこからか鋭い視線を感じて。


ハッとして振り返ったら、少し離れた場所からあの香坂さんが、私のことをすごい形相で睨んでいることに気が付いた。


や、やばい。もしかして今の、見られちゃったかな。
どうしよう……。


怖くなった私は、そのまま逃げるようにすぐ教室へと戻った。