1日だけ、キミの彼女。

「そんな、悪いよっ」


「遠慮すんなって。俺が白石さんのこと、ほっとけないだけだから」


「えっ……」


その言葉にまたドキッとする。どうしてそんなに優しいんだろう。


もうとっくに恋人のフリは終わったはずなのに。


「ありがとう、加賀見くん」


照れながらお礼を言ったら、彼は少し何か考え込んだように黙ったあと、私をじっと見下ろしながら優しく笑った。


「っていうかさ、やっぱり俺のことは、璃久でいいよ」


「えっ?」


「だから、俺もまた、結奈って呼んでもいい?」


思いがけないことを言われてビックリする。


まさか、加賀見くんとまた名前で呼び合えることになるなんて。


「も、もちろんっ! いいよっ」


嬉しさのあまり勢いよく返事をしたら、加賀見くんがまたクスッと笑った。


「サンキュ、結奈」


どうしよう。そんなふうに呼ばれたら、まだ恋人のフリが続いてるみたいだ。


ドキドキして、胸の奥がくすぐったくて。


まるで彼の特別になったみたい。


あの日一日限りの関係だと思ってたのに、なんだか急に彼との距離が縮んだような気がするのは、気のせいかな……。