1日だけ、キミの彼女。

その後、メリーゴーランドやコーヒーカップなど、色々なアトラクションを楽しんだ私たちは、またしてもムードメーカー杏ちゃんの提案により、次はお化け屋敷に入ることになった。


壁を黒く塗りつぶされた古いお城のような外観をしたその建物は、なんとも言えない禍々しい空気を醸し出している。


「お化け屋敷って、この入る前のドキドキする感じがたまらないよね」


「ここ、けっこう怖いんだってね。絶対私叫んじゃいそう~」


杏ちゃんたちはみんなこのお化け屋敷を楽しみにしていたみたいで、すごく盛り上がっている。


だけど、ホラーとか怖いものがダメな私は、お化け屋敷も大の苦手で、今からこの中に入ると考えただけでも足がすくむ。


並んでいる最中からずっと手足が震えていて、それを悟られないようにするだけで精いっぱいだった。


だって、みんながこんなに楽しそうにしてるのに、このムードを壊すわけにはいかないから。


さっき加賀見くんには「無理すんなよ」って言われたばかりだけど、友達のことを思うと、やっぱり無理してしまう。


「結奈」


すると、そんな時隣にいた加賀見くんにふと名前を呼ばれた。


振り向くと、彼がそっと私の手を取り、そのままなぜか自分の服の裾を握らせてくれて。


「俺につかまってて」