冷たい墓石に触れて目を閉じると 瞼の裏に母の優しい笑顔が浮かんでいる。 二年経った今でも私はまだ 母の私を受け入れることができない。 これはきっと悪い夢でいつかそのうち 母はひょっこりと帰ってくるだろう。 そしてあの愛おしい笑顔で 悪びれる様子もなくこう言うのだ。 「ちょっと遠くへでかけていたの。 ひとりにしてごめんね」