愛は、心の奥底に閉じ込め蓋をした。


彼の問いに答えようと、
心の中で蓋を回す音が聞こえる。


その音を掻き消すように、何度も刺した。


血で赤く染まった赤い壁は、彼と
初めてデートしたレストランの
ワインレッドの壁によく似ていた。


「………ま…、りか……さ…」


傷口を押さえていた、血で真っ赤に
染まった手で、私の左手を握った。


「……あい…して……る」


掠れた声で呟き、穏やかな笑みを
浮かべると、息絶えた。