「…守ってあげられなくてごめん」


泣きながらそう繰り返す度に、
わたしを抱きしめる力が強くなる。

こんなに感情を取り乱した彼を
見たのは初めてだった。


私は彼に背負われて、自宅に着いた。


「救急箱、ありますか?」


ベッドに座る私が指差す方向へ
彼は歩いてゆく。

そして救急箱を手に、私の隣へ腰掛けた。