「本気だよ。バカ……」 と、葵くんに軽く頭を叩かれる。 全然、痛くない。 でもこんなに近いせいか私の心拍数は加速を増していく。 「あの、近いよ葵くん……っ。読書に集中出来ないじゃん……」 「近いとダメ?」 「なっ……」 ダメに決まってる……。 慌てて文庫本を持ち直す手まで熱くて、自分でも本当に困ってる。 だけど、葵くんはそんな私を見てクスッと笑って口を開く。 「俺が見てるんだから安心して読書しなよ」 私よりずっと余裕のあるその顔に、これ以上逆らえず口を結ぶ。