【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?




ゆっくりと視線を移せば、先ほど葵くんから感じられた余裕が消えていて。


今度は、私は首を傾げる。


目が合った葵くんは、はぁっと短い溜め息をつくと、



「……心配してんの」


「心配?」


「今日、八雲に指名されてたろ。お前、手挙げてもないのに」


「あ。もしかして、体育祭の作業のお手伝いのこと?確かに……手は挙げてなかったけど」


「わざとでしょ?最初から雨野のこと見てたから、アイツ。だから俺も警戒してる」



八雲先生が私を見ていたなんて、まさかそんなことあるはずないよ。



「警戒って、八雲先生を……?」



私がそう聞き返すと、葵くんはしゃがんだまま膝の上で頬杖をついた。


そして「ん」とだけ返事をして頷いてみせる。


不審な出来事に八雲先生が関わってるって言いたいの……?


学校の先生が?


……そんなこと、あるわけない。