「ど、読書だよ……?葵くんこそ、早く髪乾かした方がいいんじゃない……?」
「ふーん」
早くあっち行ってよ、お願いだから!
私の願いが届いたのか葵くんがその場を離れていった。
────はずだったのに、
「───“お前が可愛すぎて、俺も余裕ないから”」
「……っ!?」
帯に書かれたそれを読み上げる声が、頭の上から降ってくる。
「へぇ。雨野ってそういうの好きなんだ?」
「ちょっ、なんで……!?」
フェイントかけるとか反則じゃないの!?
……しかも、声に出して読む?
ご丁寧に音読してくれなんて頼んでないっ!!
飛びつく勢いで振り返れば、そこにはまだ髪の濡れた葵くんが目を細くして立っていた。



