***
────その日の夜。
「雨野。そろそろ寝たら?」
部屋で文庫本を読んでくつろいでいると、お風呂上がりの葵くんの声が飛んできた。
……ドキッ!
「う、うん!これ、もう少し読んだら寝よっかなって思ってたとこだから……」
私は慌てて海ちゃんにゴリ押しされて貸してもらった文庫本を隠す。
読み始めたら続きが気になってしまったけど、一旦隠そう。
だって、帯に書かれた台詞を葵くんに見られたら冷やかされるかもしれない。
「なにしてんの?」
ちょっ……!!
ふすまの前まで来ると、こちらを覗いてくるから心臓に悪い。



