そんな女子の小さな争いさえも微笑みを浮かべてかわしてしまう。
きっとこんなことは日常茶飯事で、八雲先生はスルースキルまでしっかり身につけている。
……恐るべし、モテ教師。
「授業を終える前に、みんなにお願いがあるんだ。今月末の体育祭に向けて、プログラムを作っているんだけど。実行委員とは別で誰か手伝ってくれる人はいない?」
────バッ!!!!
八雲先生の“お願い”の声に、女子のみんなが一斉に手を挙げた。
ここは軍隊かなんかか?と思うくらいの一体感。
こ、こ、怖すぎるでしょ。
……って、海ちゃんまで手挙げてるし。
「じゃあ────」
真っ先にこちらに向けられる八雲先生の瞳と目が合った───瞬間。
「雨野空。うん。雨野にお願いしようかな」
「……えっ。あの、私ですか?」
手、挙げてないんですが……とは言えなかった。



