「ここ開けてくんない?」


「え……っ」



ここって、境界線であるふすまを?


いきなりなんで……。



「早く」



もうっ……!

急かされた私は渋々ふすまを開けた。



「雨野、眠れないんでしょ?」


「……っ」



暗闇の中に葵くんの声が舞う。


図星だっただけに私は黙り込んでしまった。



「そこ、朝まで開けといてよ」


「でも……」


「怖いくせに。まさか境界線とか言うつもり?どこまで意地っ張りなんだよ」



……ギクリッ。


私のことは葵くんには見透かされているみたいだ。