まだ髪だって濡れている私の頭を優しく撫でてくれる。
おかげで、もうすっかり足の震えもおさまって、バクバクしていた心臓も落ち着きを取り戻していった。
「あ、ありがと……」
さっきまで、不法侵入だとか事情聴取だとか言って文句を浴びせたのは私の方なのに。
なんの理由も尋ねることなく、葵くんはこうして包み込んでくれる。
葵くんの言葉に胸を締めつけているものが、少しだけ軽くなった。
………結局。
玄関の方へと近づくのも怖くて、廊下へ行くのも出来ずにいた私は、葵くんに髪を乾かしてもらうはめになってしまって……。
恥ずかしいからいい!と断ったのに……。
「風邪ひくだろ」とか「我慢しろ」とか言われ、私は大人しく座ってされるがままだったのだ。



