「お前がそんな顔することなんか、なにもないんだよ」
そう言うと、葵くんの大きな手が私の頭にそっと触れた。
「葵くん……っ、」
「強がりだな、お前は」
口調とは裏腹に目が合った葵くんは柔らかい表情を浮かべていた。
その途端、鼻の奥がツンと痛みあっという間に葵くんの顔が滲んでいく。
私はそれを必死に堪えた。
どうして、葵くんは……。
私の胸の内は、葵くんに話してもいないのに。
それなのにどうして葵くんは、私の心を汲んでくれようとするのだろう。
「さっきの、まだ怖い?」
「ん……少し、だけ」
私が本音をもらすと、
「そうやって素直に言ってくれた方が俺も安心する」
葵くんの優しい声が心に染み渡った。



