【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?




紫陽花の花とパールがあしらわれたバレッタ。


ひと目見ただけなら可愛らしい髪飾りに過ぎない。


けれど手紙と一緒に投函されたこのバレッタの所々には、赤黒い血が付着していた。



「や、やだ……っ」


錆びたバレッタについていた古い血。


とても直視出来ずバレッタから目を逸らした。


葵くんは手紙とバレッタをくるんで元に戻すと、自分のキャリーケースに閉まった。



油断していたわけじゃないけど、ここまでのことをされるとは想像もしていなかったから、恐怖に慄いた。



「雨野、心当たりある?」


「え……?」


「犯人は8年前に相当こだわってる」


「……」


「雨野?」



返答がないことを不思議に思った葵くんが私の顔を覗き込んだ。