「雨野、鍵かけた?」
急いで支度をして靴を履き、家を出ると葵くんが私に問いかけた。
「……もちろん!かけたよ?」
「忘れもんは?」
「えーっと、ない……と思う!」
葵くんは再びドアノブを回して鍵がかかっているかしっかり確認している。
今度はエレベーターの前まで来てボタンを押そうとした私に、
「それはダメ」
「え?」
すっ、と葵くんの腕が伸びてきて軽く手を掴まれる。
「エレベーターが危険ってわかんない?」
「あ……」
お父さんにも密室は危険、と言われたことがあったのを思い出した。
渋々、葵くんとマンションの階段を降りて学校へと歩き始める。



