「よ、よ、よかったぁ……」
張り詰めた緊張感がプツンと切れた私はその場にヘナヘナと座り込んだ。
あの靴、お母さんのだったなんて。
よくよく考えてみれば一瞬しか見ていなかったけれど、あのグレーのスニーカーは大柄な男が履くには小さすぎるよね……。
「そろそろ帰ってくる頃かと思ったから会えてよかったわ」
「だったら連絡くれればよかったのに……」
「だって、空や葵くんは学校だったでしょう?だからこうして待っていたのよ」
私も会いたかったから嬉しいけれど、ホントに心臓止まるかと思ったよ……。
「それにこの前、空が風邪の時も帰ってこれなかったじゃない?やっぱり空のことが心配でね。お父さんも、顔くらい見せに行ってきなさいって言ってくれたのよ」
見上げると、髪をひとつにまとめたお母さんの顔がある。
一ヶ月近く会わなかっただけで、お母さんにもうずっと会っていないような気がして。



