【完】ねぇ、もっと俺に甘えてよ?




* * *


次の日の帰り道。


用心深く周囲を見回す葵くんと一緒に下校したのは、もう夕陽が沈む頃だった。



「今日はなにもないみたいだな」



マンションの入口にあるポストに手紙は入っていなかった。


エレベーターは危険な可能性が高いため、いつも通り階段で部屋まで向かう。



葵くんが先に前を歩く。


そんな葵くんの後ろ姿を見つめながら、“ ごめんね ”と“ ありがとう ”を心の中で繰り返す。



鍵を開けて部屋のドアを少し開くと、



「え……?」



私と葵くんは玄関に入ろうとしてその場で凍りついた。



玄関には履き潰したようなグレーのスニーカーがある。



────ドクンッ



そのスニーカーを見て心臓が飛び出しそうになった。