こちらに背を向けているから私には気づいてない。
「寂しいのはわかってるよ。色々終わるまで、もう少し待てる?」
網戸にしているせいで誰かと電話している声が聞こえてきた。
風谷くんかな……?
それなら、これはテーブルに置いておこう。
邪魔しちゃ悪いし……。
そう思い静かにリビングの真ん中まで進んだところで、
「俺も会いたいよ」
葵くんの優しい声が舞い込んできた。
「ん。おやすみ、美雨(みう)。ちゃんと布団入んなよ?」
み、美雨……?
葵くんが女の子の名前を呼んだことに驚いて、私はその場で固まった。
「あれ。風呂出たの?」
シャッと網戸が開いて葵くんが中に戻ってきた。
「う、うん!」
戸惑う私をよそに葵くんは至って普通だ。



