「ほ、ほら……女子が見てる……」
「気のせいだって」
本当に、葵くんは全然わかってない。
どこにいたって葵くんは目をひく存在で、女子の恋心をくすぐっているってこと。
「ホントにマズイってば……っ」
「雨野が俺のこと見てくんないからでしょ?」
葵くんのその台詞に、ドキンッと鼓動が大きく跳ね上がる。
「なに言ってんの……っ」
あまりにも葵くんの顔が近い。
それに耐えきれず逸らそうとした直後、
「俺は一日中お前しか見てないのに?」
私を射抜くように見つめたあと、葵くんが耳元で囁いた。
「……っ、そ、それは、護衛だからって葵くんが言ってて」
「違う理由かもしれないよ?」
そこでようやく手が離された……。
違う理由……?
どういうことなのか聞こうとしたのに、葵くんの顔を見たら恥ずかしくてなにも言えなくなる。
「カップケーキ、楽しみにしてる」
葵くんはそう言うと、自分の種目の片付けへと向かっていった。
まだ、鳴り止まない胸の鼓動に戸惑いながら、私は葵くんの後ろ姿が見えなくなるまで見つめていたのだった。



