「少しはこっちも見てくれてもいんじゃないの?」
「……こっち?」
ちょっぴり不服そうな葵くんの顔。
そして、私は葵くんに詰め寄ったことを後悔するのだ。
───グイッ
「わあぁっ……!?」
突然、手首を掴まれたらと思ったら、あっという間に引き寄せられた。
「なに、いきなり……み、みんなに見られたら……」
「こんなとこ見られたくらいで一緒に住んでるなんてわかる奴いないよ」
ヒソヒソっと声を落とすと、吐息混じりで囁いた。
その挑戦的な声に耳がじわりと熱くなる。
「油断するなって、葵くんが言ったくせに……っ」
「まぁ、でも。イチャついてるとは思われるかも?」
なんて言いながら葵くんはちっとも手を離してはくれない。
まだ後片付けをするみんながぞろぞろ歩いているのに、葵くんはお構い無しだ。



